ワンルーム投資の赤字が続き、損切りして売るか、もう少し持つか迷っている。
毎月の持ち出しを見れば、売りたくなります。一方で、返済を続ければローン残債は減っていきます。

この2つを比べるには、「今売る場合」と「2年持ってから売る場合」の手残りをそれぞれ計算します。後者では、売るまでの持ち出しも差し引きます。
将来の売値は分からないので、価格が変わらない場合と、下がる場合・上がる場合を分けて計算します。

今売ったら、いくら残るか

まず、売却価格からローンの一括返済額と売却の諸費用を引きます。

決済時の手残り = 売却価格 - ローン一括返済額 - 売却の諸費用

返済額は、売却を予定する時点の金額を金融機関に確認します。売却の諸費用には、仲介手数料がかかる場合のほか、抵当権抹消の費用、繰上返済の手数料などがあります。
固定資産税や賃料などの精算による入出金も、決済時の見積もりに加えてください。

この手残りは利益額ではありません。譲渡所得税・住民税等を払う前の金額です。

2年持ってから売るなら、持ち出しも引く

持ち続ける場合は、次の2つを調べます。

  • 2年間の現金収支。家賃収入から、ローン返済・管理費・修繕積立金・税金などの支払いを引いた合計
  • 2年後のローン残債。金融機関の返済予定表で確認

毎月の持ち出しに含めていない固定資産税や保険料があれば、別に加えます。退去時の原状回復費や募集費、設備交換なども見込む必要があります。

2年持つ場合の差引 = 2年後の売却時の手残り + 2年間の現金収支

現金収支が赤字なら、その分だけ手残りから引く計算です。
ローンの元金返済は、毎月の支払いと2年後の残債に織り込まれています。「残債が減った分」をさらに足すと、二重に数えることになります。

売却価格が変わると、比較結果も変わる

以下は計算方法を示すための仮の例です。実際の取引や査定額、価格の予測ではありません。

  • 今の売却価格: 1,800万円
  • 今のローン一括返済額: 1,700万円
  • 2年後のローン一括返済額: 1,620万円
  • 毎月の現金収支: マイナス2万円。年間の経費も月割りで含めたものとします
  • 売却の諸費用: 今も2年後も60万円と仮定。実際には価格や条件で変わります
  • 追加の支出・精算金はこの例では入れず、税引前で比較します

今売る場合の手残りは、1,800万円 - 1,700万円 - 60万円 = 40万円です。
2年間の持ち出しは、2万円 × 24か月 = 48万円です。

表の金額はすべて万円単位です。「差引」は2年間の持ち出し48万円を引いた金額、「今との差」は今売る場合の手残り40万円との差です。

2年後の売値売却時の手残り差引今との差
1,70020-28-68
1,80012072+32
1,900220172+132

売値が変わらなければ、残債の減少80万円から持ち出し48万円を引き、差引で32万円増えます。
一方、売値が100万円下がると、差引は今売る場合より68万円少なくなります。

この例では、2年後の売値が1,768万円なら、今売る場合と差引が同じです。
1,768万円 - 1,620万円 - 60万円 - 48万円 = 40万円となります。
この価格は予測ではなく、比較の分かれ目を計算したものです。

手残りを比べたあとに、確認すること

上の比較だけでは、売るか持つかは決まりません。少なくとも次を確認します。

  • 2年間に退去や設備交換があった場合、持ち出しに耐えられるか
  • 管理費・修繕積立金・金利が変わる場合、現金収支はどうなるか
  • 想定した価格で売れなかった場合、価格を下げる余地や返済に充てる現金があるか
  • 売却後の税金を引いた場合も、比較結果が同じか

今売った手残りを2年間運用した場合の収益や、お金を使える時期の違いも、上の簡易計算には入れていません。
持ち出しを止めたい理由や、手元に残しておきたい現金も含めて考えます。

手残りと譲渡所得は、計算が違う

土地・建物を売ったときの譲渡所得は、売却収入から取得費と譲渡費用などを引いて計算します。ローン残債を引いて求めるものではありません。
建物の取得費は減価償却を反映するため、購入価格をそのまま使えない場合があります。

売却で手元に残る現金が少なくても、税金が生じることがあります。税引前の手残りを、そのまま使えるお金と考えないようにしてください。

2年持つことで、売った年の1月1日時点の所有期間が5年以下から5年超に変わり、譲渡所得にかかる税率が大きく変わる場合もあります。

個別の税額や適用できる控除は、税務署または税理士に確認します。

参考: 国税庁 No.3202 譲渡所得の計算のしかた (確認日: 2026年10月9日)

所有期間と税率: 国税庁 No.3208 長期譲渡所得の税額の計算、国税庁 No.3211 短期譲渡所得の税額の計算 (確認日: 2026年10月9日)

返済予定表と送金明細から、売る場合と持つ場合を比べます

まずは返済予定表と家賃の送金明細、管理費・修繕積立金の通知を手元にそろえてください。年間の税金や保険料も分かると、比較の漏れを減らせます。
毎月の赤字と残債を確認する7項目も参考にできます。

当社では、売却を決める前の段階からご相談を受けています。
今売った場合の手残りと、持ち続けた場合の収支を比べたい方は、お問い合わせページからご連絡ください。
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